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管轄外本店移転3

2021/12/17 金曜日

管轄外本店移転と同時に他の申請を申請することについて1つの疑問がある。

他の申請の原因日付が本店移転の日付よりも後の場合である。

具体例で考えてみよう。

本店移転の効力発生日は4月1日、4月2日に取締役が就任、登記申請を4月3日に行う場合である。登記事項は以下のようになる。
4月1日 ●●へ本店移転
4月2日 取締役何某 就任

これはデジタル方式でも同時に申請できないという見解があるようだ。
私が探した限りでは明確に肯定または否定している文献を探し当てることはできなかったのだが、知人の司法書士数人に訊いてみても同時申請を肯定する人はいなかった。

おそらく本店移転後の日付の登記事項の変更が記録されるとおかしなことになるからであろう。
4月1日 ●●へ本店移転   4月3日登記
4月2日 取締役何某 就任  4月3日登記
このような記録になってしまうからであろう。

仮に取締役の変更が就任ではなく退任であれば、現に効力を有しない事項として新登記所で起こされる登記記録には記録されないのか、それとも本店移転後の日付であるから記録するのだろうか、という疑問も起きてしまう。

このようなことから、他の申請の原因日付が本店移転のそれよりも後の場合には同時申請ができないと考えられているのだろう。

果たして本当にそうだろうか?

同時に申請しているから問題になるのであり、この場合に取締役の変更を先に申請し、その後に本店移転を申請した場合はどうだろうか。

この場合は上記のようなおかしな登記記録の記載ぶりとなってしまうが、これを理由に後から申請した本店移転を却下することはできないだろう。却下事由に該当するハズがないし、却下されてしまうとどうやっても本店移転を申請することができなくなってしまう。

やはり他の申請の原因日付が本店移転の日付よりも後の場合であっても、同時申請は可能なのではないだろうか。

しかし、これはかなりのレアケースである。
通常、本店移転と同時に行う他の登記は本店移転と同じ日に行われることがほとんどである。取締役の就任や商号変更などの決議が必要な事項は本店移転の決議と同一の株主総会や取締役会で決議してしまうからである。
株主総会で4月1日付けで本店移転を決議しておきながら、商号変更を4月2日付けで決議することはあまり考えられない。この場合は同一日とするのが普通である。だから、本店移転の原因日付よりも後になるということはあまりないのだ。

これが問題となるのは、本店移転の効力発生後登記申請の間までに変更が生じた場合であり、しかもその変更事項は株主総会や取締役会の決議を要しない変更、例えば取締役の辞任や死亡などである。
いずれもかなりのレアケースであり、長々と書いてきたが、この問題は事実上ほとんど起きないハズである。