種類株式1
2021/12/30 木曜日
種類株式制度とは内容の異なる2つ以上の株式を発行できるというものである。
株式の内容とは配当を受けることができる「自益権」と株主総会での議決権を行使できる「共益権」がある。
種類株式発行会社では、自益権や共益権に差を設けた株式を発行することができる。
差を設けるということは、少なくとも2種類以上の株式が存在しているということである。
1種類しかなければ、差のつけようがない。
会社法には9つの種類株式を規定していて、これらを複数設けること、組み合わせて設けること、1つだけ設けてもう1つは何の特徴もない株式(これを普通株式と呼ぶことが多い。)を設けるという方法がある。
この項では会社法が定める種類株式を紹介するとともに、具体的な使い方とその有用度のランクをABCの順で、独自の視点でランク付けしてみたい。
1 剰余金の配当
いわゆる優先株式である。他の種類株式よりも配当が優遇される株式である。
①使い方
出資者が配当のみに関心がある場合に、後述の議決権制限株式と組み合わせることにより、配当が優遇されるが議決権は行使できないという種類株式を設けることができる。
設計次第ではトラッキングストックなんかにも使える。
②有用度
何が何でも出資をしてほしいときに、既存の株式(何の特徴もない株式)よりも「おいしい株式」を発行することができれば、出資を有利に募ることができるかもしれない。
しかし、議決権制限株式と組み合わせるといっても「議決権は要らないから配当を多くよこせ」という出資者がどれほどいるのだろうか。出資したお金をキチンと活用しているのかを株主総会の議決権を通じて監視したいのではないだろうか。
よって、議決権制限株式と組み合わせることの実用性はそれほど高くはないと思うが、既存の株式よりも「おいしい株式」を発行できるということは有用度が高いので、ランクはAとする。
2 残余財産の分配
剰余金の配当ではなく、会社が解散した後の残余財産の分配で優遇される株式である。
①使い方
将来の解散が予定されている会社、つまり期間限定のプロジェクトや事業を行うためだけに設立された会社などで有利な条件での出資を募ることができる。
例えば映画やアニメなどの映像を制作し、この版権その他一切合切を第三者に売却し、会社は解散して、その収益を残余財産として分配するような場合である。
株式会社の始祖といわれている中世ヨーロッパで存在していた航海会社などが典型であろう。航海会社とは不特定多数の投資家から出資を募って船団を組織し、ヨーロッパから中東やアジアなどに珍しいものを買付けするために航海し、買い付けてきた品物をヨーロッパで売りさばき利益を得る、その収益から経費を差し引いて投資家へ還元するというものである。
当時の航海とは命がけなハズであり、これは投資というよりも投機・博打のような気もする。株式会社の始祖は博打だったのか・・・?
これはさておき。
残余財産の分配で優遇するためには、優遇されない株式には会社存続期間中に何らかの有利な条件を付しておかないと意味がないだろう。
残余財産で優遇されない株式には取得請求権をつけて期間中の投資の回収手段を付与したり、残余財産優遇株式には議決権を制限したりすることが考えられる。
②有用度
そもそも期間限定の株式会社というものが想定しにくい。このような場合は合同会社のほうが安上がりである。合同会社の欠点は意思決定を迅速に行うことが難しい点があり、事業が数年にわたるような場合でもない限り合同会社を選択すべきである。
また、他の種類の株式との差を設けなければならないが、これも設計が難しく投資家にとって魅力的な残余財産優先株式を創るのが難しい。
よってランクはCとする。実際にこの種類株式を用いている会社は存在するのだろうか。
3 議決権制限株式
株主総会での議決権の全部または一部を制限することができる。
①使い方
株主総会での議決権行使は会社の支配といっても過言ではなく、この支配権を握ることが重要である。事業承継の場面において、議決権のある株式を後継者相続人に、議決権制限株式をそれ以外の相続人に相続させることにより、後継者の会社支配権を安定させるという手法が提唱されている。議決権が制限された株式を相続する相続人は、これでは面白くないハズであるから、この株式は優先株式にするべきであろう。
このように自益権を優遇し、共益権を冷遇するように種類株式の内容を設計していくことが推奨されている。アメとムチである。
②有用度
議決権制限株式は、自益権を優遇した株式にセットでつけるものであり、単独で定めるべきものではない。アメとムチを上手く使い分けることができるのであれば、ランクはAである。
種類株式は数が多いので、続きは後日。

