種類株式3
2022/1/17 月曜日
種類株式ランク付けの続き。
7 拒否権付種類株式
会社が株主総会や取締役会で決議をしても、この拒否権付種類株式の株主の同意がなければ決議が有効とならないというものである。いわゆる黄金株と呼ばれるものである。
①使い方
創業者が会社経営権を次世代に引き継いだが少々心持たない、というときに先代である創業者が現経営者の後見役を果たし、現経営者が誤った会社経営をしないようにすることができる。
②有用度
円滑な事業承継のためには有用度は高いのだが、この種類株式は「影の支配者」というものを制度化したものにすぎず、この内容が会社の登記記録に記載されてしまう。もっともその影の支配者が誰であるかまでは登記されないが。 この会社と取引をしようとする者が登記記録を見たときに、「この会社には影の支配者がいるということは、この会社の経営者は実力不足なのかな?そもそも誰と話をすればいいんだろう?」などと怪しまれてしまう。 メリットもあるがデメリットも多いので、有用度はランクCである。
8 取締役・監査役の選任解任権付種類株式
この種類株式の株主だけが役員の選任解任ができるというものである。
①使い方
合弁会社などで出資比率に応じた役員構成が可能となる。 役員選任解任種類株式を2種類発行(A種類とB種類という名称にする)し、A種類を出資者甲に発行、B種類を出資者乙に発行する。甲と乙出資割合が3対2なので、A種類は3人選任することができ、B種類は2人選任することができると定める。こうすれば出資割合に応じた取締役構成とすることができ、これに応じた会社経営が可能となる。 議決権制限株式や拒否権付種類株式でも似たようなことはできるが、株主総会で選任するのか、種類株主総会で選任するのか、はたまた両者の開催が必要なのかや発行数の制限の有無くらいが違いであるので、実際はそれほどの差異はないハズである。
②有用度 有用度は高くないと考える。出資比率に応じた役員構成というのは出資者間の対立をそのまま取締役会に持ち込むことであり、場合によっては会社経営に混乱を来すおそれがある。 そのためランクCである。
9 譲渡制限株式
種類株式ごとに譲渡制限を付すことができる。
①使い方 複数の種類株式を発行している場合に、A種類株式は譲渡制限を付さないがB種類株式には譲渡制限を付すなど細かく設定できる。もちろん全ての種類株式に譲渡制限を付すことも、付さないことも可能である。1つの種類でも譲渡制限が付されなければその会社は公開会社となり、閉鎖会社と比べて、機関設計の自由度が低くなる。
②有用度 公開会社、閉鎖会社のメルクマールとなるものであり有用度は極めて高い。また、絶対に他人の手に渡ってはいけない種類株式(一番わかりやすいのは黄金株であろう。こんなものが創業者である先代以外の者の手に渡ってしまえば目も当てられない)には必須の定めである。よって有用度はSSである。
このように長々と書いてきたが、結局のところ種類株式とは一長一短であり利用の際にはジックリと考える必要がある。 事業承継の方法としての活用が提唱されているようだが、市販の記載例をそのまま書き写すようなことは避け、専門家のアドバイスを受けながらジックリと考えるべきである。 法律だけでなく税務の面も検討しなければならないだろう。
会社と株主の関係が良好であれば、種類株式制度を頼らず個々の株主との間で「株式譲渡禁止契約」や「議決権行使禁止・制限契約」などを締結すれば事足りてしまうこともあるだろう。もっともこれらの契約の有効性は疑問があるし、特に相続等によって承継された場合に契約内容が相続人等へ承継されるかについては疑問である。要するにこれも万能ではない。 種類株式については人によって評価が分かれるものであり、クドいようだがあくまでも個人的な意見であることを付け加えておく。
とりあえずこんな感じ。

