株式併合1
2022/1/22 土曜日
株式併合とは発行する株式の数を縮小することである。
発行済株式総数1000株、株主A700株、株主B200株、株主C100株の会社が100株を1株とする株式併合を行うと、発行済株式総数10株、株主A7株、株主B2株、株主C1株となる。併合割合は0.01である。
株式数は減少してしまうが、会社の資産や資本金は変わらないので株式の価値は変わらずに1株あたりの価値が上がるだけ(持株数は100分の1となり株価は100倍となるので、いってこいである)なのでそこはご心配なく。ただ、小分けにして取引することはできなくなるので、取引が難しくなることはあるだろうし、それ故に事実上株式の価値が下落することはあるだろう。しかし、株式の取引が頻繁に行われていないような会社では影響はほぼないだろう。
なぜ、株式併合が存在するのかといえば、投資単位の調整が目的である。
東証などの証券取引所では各会社に取引単位を100株とすることを呼びかけているので、上場企業がこれに応ずるために株式併合を行っている。
よって、株式併合とは上場企業が行うものというのが一般的な認識であった。
しかし、株式併合には別の使い方がある。
上記の会社で350株を1株とする株式併合を行うと各株主の持株数は、株主A2株、株主B0.57・・株、株主C0.285・・・株となる。株主Bと株主Cは1株未満となり、株主としての地位を失い以後株主Aだけがこの会社の株主となる。(1株に満たない株式は存在できないのだ)
1株に満たないBとCの株式(条文上は「端数」といわれている。)は会社法が定める端数処理により売却され、その代金をそれぞれの持株数に応じて配分される。つまり株式併合により一部の株主を締め出すことができるのだ。締め出された株主はお金を渡して去ってもらうので、これを株式併合によるキャッシュアウトというそうだ。キャッシュアウトは経営権を集中させ会社経営の安定化を図るとともに、事業承継の際には重要な要素となる。
しかしキャッシュアウト目的で株式併合を行うことはほとんどなかったといわれている。
株式併合は株主総会特別決議で行うのだが、多数派の株主(設例では株主A)だけの賛成で一方的に少数株主(設例では株主Bと株主C)を締め出してしまうので、少数株主から「この株式併合は不利益であり、その保護がなされていないぞ!不公平な決議だ!」として株主総会決議取消訴訟を提起されるリスクがある。感情的なもつれから泥沼化することは十分に予想できる。これ故にキャッシュアウト目的の株式併合は躊躇されていたのだ。
平成26年の会社法改正により、同じように少数者を一方的に締め出す全部取得条項付種類株式と同様な重要な事項の事前開示、差止請求、反対株主の買取請求が株式併合でも規定された。これにより株式併合でも「少数株主の保護」が法定され、株式併合を決議した株主総会の決議が不公平といわれることがなくなった(完全になくなったわけではないが)ので、決議取消訴訟のリスクが少なくなった。
これによりキャッシュアウト目的の株式併合の可能性が出てきた。

