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取締役の欠格事由2

2022/2/14 月曜日

 成年被後見人や被保佐人が取締役となることができるということは2つの局面で考えることができる。

 1つめの局面は在任中の取締役が成年後見開始の審判や保佐開始の審判を受けた場合である。
成年後見であれば会社法の改正にかかわらず従前どおり、退任しなければならない。会社法には規定がないが民法の規定が適用されるようだ。成年後見開始の審判はある日突然なされるものではなく、関係者があれやこれやと動いているので、ある程度の準備はできるのでそれほど影響はないだろう。
 保佐開始の審判であれば退任する必要はない。これも会社法には規定がないが民法の規定が適用されるようだ。(というか退任するという規定がない。)
 
 2つめの局面は新たに選任する場合である。成年被後見人や被保佐人が取締役となることはできるのだが、その就任手続が変わっているので要注意だ。
 取締役は株主総会での選任と被選任者の就任承諾があって就任する。株主総会で選任することは変わりはないのだが、就任承諾は成年被後見人ではなく、成年後見人が行うのだ。
しかもその際には成年被後見人の同意を得る必要がある。令和元年の改正で新設された会社法331条の2だ。成年被後見人自身が就任承諾を行うという考え方もあったのだが、成年被後見人が行った就任承諾を成年後見人が事後的に取り消してしまうことができるのではないか?という懸念があったので成年後見人が就任承諾をするということになっている。
 成年後見人としては「成年被後見人が提供する継続的な役務提供契約の承諾を成年後見人が行う」という点に特に注意すべきであろう。成年後見人は広範な代理権を有するとはいわれているが、成年被後見人が継続的な労務提供する債務を負う契約の締結を代理することは滅多にない。成年後見人としては成年被後見人が取締役としての任に堪えられるか、ヘタを打って莫大な損害賠償債務を負うことがないかなどを慎重に判断して就任承諾を行うこととなるであろう。
 成年被後見人に労務提供の債務を負わせることになるから成年被後見人の同意を得るという構成なのだろう。民法859条2項が準用する824条ただし書と同じような規律としたのであろう。

 保佐人や補助人の同意を得て被保佐人や被補助人が法律行為を行うということはある。しかし成年被後見人の取締役就任の局面では同意をする者と法律行為(ここでは就任承諾の意思表示をすることを指す)をする者が逆となっている。実務においては誰から就任承諾書をもらい、誰から同意書をもらうのかを取り違えないようにしなければならない。

以上は成年後見の場合である。
保佐の場合には別の規律となっていて、これはこれでややこしくなっているので、次の頁で。