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みずほ銀行の抵当権抹消2

2022/7/14 木曜日

抵当権の抹消登記手続にはいくつかの前提があるので、まずはこれを抑えておこう。

1 抵当権者の合併
抵当権者とはお金を貸した人であるので、銀行のことである。抵当権者が合併して消滅してしまった場合(吸収された場合)は、消滅した会社から存続する会社へ抵当権を移転する登記申請が必要である。
興銀は富士に吸収されたので、興銀名義の抵当権は富士へ移転させる必要がある。
逆に存続する会社名義の抵当権は移転させる必要はない。相続が開始すると被相続人名義の不動産は相続人へ移転するが、相続人名義の不動産は移転させる必要はないことと同じ理論である。

2 抵当権者の商号変更・本店移転
所有権でも抵当権でもそれぞれの氏名・商号(社名)や住所・本店所在地(本社の場所)が変更した場合は変更登記をしなければならない。権利者自体は変わっていないのだが、その表記が変わったということである。これを登記名義人表示変更登記という。業界では「名変登記」という。名変登記というと名義変更と捉える人もいるが、そうではない。名義変更は移転登記である。
富士はみずほ銀行へと商号を変更しているので、富士銀行名義の抵当権は登記名義人表示変更が必要となる。
1件目で登記名義人表示変更登記申請により富士→コポ銀→新みずほ、2件目に抵当権抹消と2件の申請を行うべきなのだが、これには例外があり、抵当権を抹消する際には抵当権者の登記名義人表示変更登記は省略できるのだ。どうせ抹消されてしまうのだからわざわざ登記名義人表示変更登記をするまでもないということであろう。その際には変更の経緯を称する証明書(会社の登記事項証明書)を添付する。富士名義の抵当権を抹消する場合はわざわざ新みずほへの登記名義人表示変更登記をしなくてもいいのだ。

以上のルールを前提に実際の登記申請書の記載事項を見ていこう。

1 富士名義の抵当権
富士は興銀を飲み込んだ(合併)その日に社名をコポ銀へと変えているので、富士名義の抵当権は平成13年12月31日以前に設定されたものである。
富士は合併による生き残りなので、抵当権権移転登記は関係ない。
コポ銀は旧みずほ(旧勧銀)も飲み込んだときに新みずほへと社名を変更しているので、社名変更が2回と住所(本店所在地)の変更が1回あるが、いずれも登記名義人表示変更なので、変更証明書を添付することにより、登記名義人表示変更登記を省略できる。なので申請は抵当権抹消の1件だけである。申請書記載事項はこんな感じ。

登記の目的 抵当権抹消
原因    年月日 解除とか弁済など
申請人   登記権利者 何某(所有者)
登記義務者 東京都千代田区大手町一丁目5番5号
株式会社みずほ銀行 会社法人等番号●●
添付情報  登記原因証明情報 登記済証 変更証明書 会社法人等番号 
代理権限証明情報
登録免許税 不動産の数×1,000円

2 コポ銀、新みずほ名義の抵当権
富士は旧みずほを飲み込んだ(合併)その日に社名を新みずほへと変えているので、コポ銀名義の抵当権は平成25年6月30日以前に設定されたものである。
コポ銀は富士そのものであるので、社名変更1回、住所(本店所在地)の変更が1回であり、新みずほもそのコポ銀そのものであるので、住所(本店所在地)の変更が1回だけである。したがって、いずれも登記名義人表示変更なので、変更証明書を添付することにより、登記名義人表示変更登記を省略できる。なので申請は抵当権抹消の1件だけである。申請書記載事項はこんな感じ。

登記の目的 抵当権抹消
原因    年月日 解除とか弁済など
申請人   登記権利者 何某(所有者)
登記義務者 東京都千代田区大手町一丁目5番5号
株式会社みずほ銀行 会社法人等番号●●
添付情報  登記原因証明情報 登記識別情報または登記済証 変更証明書 会社法人等      番号 
代理権限証明情報
登録免許税 不動産の数×1,000円

3 興銀名義の抵当権
興銀は平成14年7月1に富士に吸収されて消滅しているので、富士(=コポ銀=新みずほ)へ抵当権が移転している。その富士はコポ銀→新みずほへと社名変更と住所(本店所在地)変更をしている。なので抵当権抹消の前提として抵当権の移転登記が必要となる。
申請書記載事項はこんな感じ。

1件目
登記の目的 抵当権移転
原因    平成14年7月1日 合併
抵当権者  (被合併会社 株式会社日本興業銀行)
      東京都千代田区大手町一丁目5番5号
株式会社みずほ銀行 会社法人等番号●●
添付情報  登記原因証明情報 会社法人等番号 代理権限証明情報

2件目
登記の目的 抵当権抹消
原因    年月日 解除とか弁済など
申請人   登記権利者 何某(所有者)
登記義務者 東京都千代田区大手町一丁目5番5号
株式会社みずほ銀行 会社法人等番号●●
添付情報  登記原因証明情報 登記識別情報または登記済証 変更証明書 会社法人等      番号 代理権限証明情報
登録免許税 不動産の数×1,000円

4 勧銀名義の抵当権
勧銀は平成14年7月1日に社名を旧みずほへ変更し、平成平成25年7月1日にコポ銀から社名を変更した新みずほに吸収されて消滅しているので、新みずほへ抵当権が移転している。チョット分かりにくいが、みずほ銀行がみずほ銀行に吸収されたということだ。
なので抵当権抹消の前提として抵当権の移転登記が必要となる。これは添付書類だけで省略することはできない。勧銀名義の抵当権は平成14年6月30日以前に設定されたものである。申請書記載事項はこんな感じ。

1件目
登記の目的 抵当権移転
原因    平成25年7月1日 合併
抵当権者  (被合併会社 株式会社第一勧業銀行)
      東京都千代田区大手町一丁目5番5号
株式会社みずほ銀行 会社法人等番号●●
添付情報  登記原因証明情報 会社法人等番号 代理権限証明情報

2件目
登記の目的 抵当権抹消
原因    年月日 解除とか弁済など
申請人   登記権利者 何某(所有者)
登記義務者 東京都千代田区大手町一丁目5番5号
株式会社みずほ銀行 会社法人等番号●●
添付情報  登記原因証明情報 登記識別情報または登記済証 変更証明書 会社法人等      番号 
代理権限証明情報
登録免許税 不動産の数×1,000円

5 旧みずほ名義の抵当権
平成14年7月1日に勧銀が社名を変え、平成平成25年7月1日のコポ銀から社名を変更した新みずほに吸収されてこの世から消滅したのが旧みずほなので、登記記録には「抵当権者 株式会社みずほ銀行」と記載されていても平成25年6月30日までに設定された抵当権は旧みずほが設定した抵当権である。なので、平成25年6月30日までに設定された抵当権の抹消の前提として抵当権の移転登記が必要となる。この合併はみずほ銀行がみずほ銀行を吸収合併していることになっているので、登記記録上ややこしいことになっている。先に述べたように生き残るのはコポ銀であるが、「みずほ銀行」という社名とそのブランド力を残すために行っているので致し方ない。

1件目
登記の目的 抵当権移転
原因    平成25年7月1日 合併
抵当権者  (被合併会社 株式会社第一勧業銀行)
      東京都千代田区大手町一丁目5番5号
株式会社みずほ銀行 会社法人等番号●●
添付情報  登記原因証明情報 会社法人等番号 代理権限証明情報

2件目
登記の目的 抵当権抹消
原因    年月日 解除とか弁済など
申請人   登記権利者 何某(所有者)
登記義務者 東京都千代田区大手町一丁目5番5号
株式会社みずほ銀行 会社法人等番号●●
添付情報  登記原因証明情報 登記識別情報または登記済証 変更証明書 会社法人等      番号 
代理権限証明情報
登録免許税 不動産の数×1,000円

以上長々と書いてきたが、実際にはみずほ銀行の抵当権抹消の際にはみずほから登記申請書の記載例なども送られているようなので、それを参考にすればOKだ。それほど神経質になる必要はない。融資を受けた当時の銀行がその後合併により消滅していると抵当権の移転登記も必要になるということだけは抑えておいてほしい。もっともこれに要する費用(登録免許税)はみずほが持ってくれるのでご安心を。

いずれは三井住友や三菱UFJやりそななどでも同じような企画をやってみようと考えている。
これを結びとして、このシリーズを完結させる。