お知らせNews

株主総会議事録の押印

2022/12/08 木曜日

株主総会を開催した場合にはその議事録を作成する必要がある。登記申請以外に株主総会を外部に提出することはあまりないのだが、その際には記名押印の要否が問題となる。印鑑不要通達の影響もあり、混乱している感もあるのでこれを整理することがこの頁のテーマである。

基本的な考え方であるが、原則として株主総会議事録には記名押印は不要である。登記申請に用いる場合でも、それ以外の用途に用いる場合でも不要である。
登記申請に限っていえば、例外的に作成者や出席者が記名押印しなければならない場合があると考えておけばいいだろう。

まず、原則の考え方であるが、株主総会議事録には議事の経過や出席者を記載しなければならない。これは議事録である以上当然である。どのような議事・決議が行われたのかを第三者が検証できる程度の記載は必要であろう。
具体的な記載事項は会社法施行規則72条に規定されているのだが、ここには議事録作成者を記載せよとはあるが、押印せよとは規定されていない。これが株主総会議事録には原則として押印不要という根拠である。旧商法では出席した取締役や監査役に押印義務があったのだが、平成18年の会社法施行とともに押印不要となった。例の印鑑不要通達の煽りではない。以前から押印不要であったのだ。
ただし、定款で旧商法下に倣って議長及び出席取締役等に株主総会議事録への記名押印を定めている会社(特に旧商法下時代からある会社に多いようだが)では、こちらが優先されるので、記名押印しなければならないので要注意だ。一般的には議長が議事録作成者として押印するだけで済ますことが多いが、この定款の定めがある会社ではこれでは足りず他の出席取締役も押印しなければならない。特に添付書類として定款を添付する局面で、議長兼議事録作成者だけが押印している株主総会議事録では添付書類としての適正を欠くものとして登記申請自体が却下されてしまうかもしれない。商業登記法24条7号か。
市販の定款記載例でもたまに見かける記載ぶりである。取締役が1人の会社であれば事実上は問題ないかもしれないが、増員したときにはチョット厄介なので、その際に定款変更を検討してもいいかもしれない。

議事録作成者とは誰か?という問題が起きる。正確には「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」である。多くの会社では株主総会議事録は総務部や法務部などの従業員がドラフト版を作成し、推敲を重ねて最終的には部署の一番エライ人の決裁を経て完成するという流れであろう。この部署の一番エライ人というのは取締役であることが多いハズなので、この人が「議事録の作成に係る職務を行った取締役」である。肩書きとしては総務部長取締役や法務部長取締役などを名乗っていることが多いだろう。
中小企業であれば、社長である代表取締役が最終決裁者であることが多いであろうから、この場合の「議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名」は代表取締役である。
要するに最終決裁者の名前だけを記載すればOKで、その者が押印する必要はないということだ。

次に例外的に記名押印が必要な場合である。2つの局面がある。
1つめは株主総会で代表取締役を選定した場合である。取締役会を置かない会社で代表取締役を選定する場合である。この場合は商業登記規則61条6項1号により、議長及び出席取締役が実印または会社届出印を押印しなければならない。
商業登記規則61条6項1号が会社法施行規則72条に優先するのだ。

2つめは株主総会で取締役の利益相反取引を承認する場合である。
利益相反取引に基づく所有権移転登記や抵当権設定の登記申請をする際には、不動産登記令7条1項5号ハにより「第三者の承諾を証する情報」を提供しなければならないのだが、取締役会を置かない会社では株主総会議事録がこれに該当する。
この株主総会議事録は不動産登記令19条1項により、作成者が記名押印しなければならないとされている。作成者とは先に述べたように作成担当部署の一番エライ人(取締役)だ。そして19条2項により実印で押印して、印鑑証明書を添付しなければならない。この一番エライ人が印鑑届をしている代表取締役であれば登記所届出印を、そうでない場合は市区町村に登録している印鑑(個人の実印)で押印しなければならない。
この場合は代表取締役の選定の場合とは異なり、議長及び出席取締役の記名押印は不要だ。議事録作成者の記名押印だけで足りる。

株主総会への押印のまとめ
原則 
不要(出席取締役、議長、議事録作成担当取締役の氏名だけを記載すればOK)

例外1 代表取締役の選定
議長及び出席取締役が届出印または個人の実印で押印

例外2 利益相反取引の承認
議事録作成担当取締役が届出印または個人の実印で押印

他に株主総会議事録に押印が義務となっている場合はあるだろうか。該当することがあれば追記することにする。それでは。