代表権の帰趨 実践編3
2023/3/04 土曜日
次は代表取締役が代わる場合。
取締役がA、B、Cの3名の非設置会社 代表取締役はA
令和4年6月1日に取締役会を設置する株主総会特別決議とともに監査役としてDを選任し、Dは同日就任承諾 代表取締役はBが選定された。
これも前2回と同様に代表取締役の選定方法の変更であり、変更後の方法では選定されなかったAは代表取締役を退くこととなる。なので今回は代表取締役の登記も必要となる。
なすべき手続は株主総会と取締役会である。
(1)株主総会
1号議案 監査役設置会社の定めの設定 ※会計限定監査役とするのであればこれも
2号議案 監査役の選任 ※監査役Dを選任
3号議案 取締役会設置会社の定めの設定
※1号議案と3号議案は「定款変更」として1つの議案にまとめてしまうこともできる
(2)取締役会議事録
1号議案 代表取締役の選定 代表取締役 (住所)Bを選定
この取締役会議事録は商業登記規則61条6項の適用があるので、出席取締役が実印で押印して印鑑証明書を添付するのだが、代表取締役を退任して平取締役となったAが出席しているのであれば、Aが届出印を押印すればOKだ。この取締役会議事録は登記申請の添付書類となるので、前回とは異なる。
そして登記申請。申請書はこんな感じ。
①登記の目的
「監査役設置会社の定めの設定」
「監査役の変更」
「取締役会設置会社の定めの設定」
「代表取締役の変更」
会計限定監査役とするのであればこれも。
「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの設定」
②登記すべき事項
「令和4年6月1日 監査役設置会社の定めの設定」
「同日 監査役D選任」
「同日 取締役会設置会社の定め設定」
「同日 代表取締役 (住所)B就任」
「同日 代表取締役A代表取締役の退任」
※Bは代表取締役としての地位を失うものであり、登記実務上は登記原因として「取締役Bは年月日代表取締役を退任」という文言が用いられるらしい(平成18年4月26日民商1110号登記記録例通知、ハンドブック 418頁、平成27年施行改正会社法と商業登記の最新実務論点 167頁)が、単に「退任」でもいいような気もする。
そもそも代表取締役の選定方法に変更があり、この変更後の方法では選任されなかった代表取締役は退任するということは不可解(以前書いたように選定方法の変更をもって任期満了と扱うのであればまだ理解できるが)だし、実例も少ないだろうから「退任」として登記されていることもあるかもしれない。
③添付書類
株主総会議事録
株主リスト
監査役の就任承諾書
監査役の本人確認証明書
取締役会議事録
代表取締役の就任承諾書
印鑑証明書(Bの印鑑証明書)
※添付書類ではないが印鑑届も必要だ
④登録免許税
監査役設置分 ・・・3万円(別表ツ)
監査役、代表取締役変更分 ・・・1万円or3万円(別表カ)
取締役会設置設置分・・・3万円(別表ワ)
監査役設置分と取締役会設置分は別区分なのでそれぞれ3万円を支払う。
これは高い!中小企業にとっては負担が重たい。会社の規模に応じた額としてもいいのではないかとも思う。
取締役会や監査役を設置するということはコーポレートガバナンス(企業統治)の観点からも好ましいので、これらを推奨するという意味でももっと安くしてもいいのではないだろうか。
登記申請の際の登録免許税は時限的な減税措置がとられることがある。これは政策的な思惑があるのだが、主に不動産登記で見かけることが多い。会社の登記ではほとんどない。
会社の登記でも会社の規模に応じた減税や時限的な減税があってもいいのではないだろうか。司法書士会にはこういったことも提言してもらいたいところだ。
では。
