成年後見申立の諸問題1 登場人物
2023/4/15 土曜日
気が付いたら新年度が始まっていた。花粉やら黄砂などの妨害に苦しみながら新年度施行の法令等の調査を行っていたので、チョット投稿が遅れてしまった。
このシリーズは成年後見の話。
当事務所のホームページでは成年後見を扱うのは初めてである。成年後見では登記ほど細かい論点が理論的に構築されているとは言い難く、多くの場合はよく言えば適切な結果となるよう運用されているし、悪くいえばケースバイケースで場当たり的な運用がなされている。扱う役所が法務局ではなく裁判所であるということもこのことを物語っているかもしれない。
後見人等を付けるための申立を「成年後見開始等の審判の申立」というが、その数は年々増加している。
家庭裁判所に対して行うため、家事事件といわれる。家事事件には遺言の検認、相続放棄の申述、遺産分割調停などたくさんある。
さて、わたしも他の司法書士と同じように「成年後見開始等の審判の申立」をしたいという依頼をいただくのだが、これにはいろいろな問題がある。この頁では実務の扱いを紹介することが主題だ。
成年後見開始等の審判の申立の諸問題としては以下の問題があると考えられるので、それぞれ別の頁で紹介する。
①登場人物(本頁で触れる)
②類型の選択
③誰が申立人となるのか
④成年後見人等候補者となるべき者
⑤診断書の準備
⑥添付書類の準備
⑦申立費用は誰が負担するのか
まず、成年後見開始等の審判の申立をする際の「登場人物」から。
①本人(成年被後見人)
成年後見制度の対象となる人のことである。条文上は本人または成年被後見人(類型により被保佐人、被補助人)と呼ばれている。
要するに判断能力が低下していて、他者による財産管理が必要な人である。
本人とか成年被後見人とかいろいろな表現で呼ばれているが、成年後見開始等の審判がなされるまでは「本人」であり、審判がなされた後は「成年被後見人」と呼ばれるのが正しいハズだが、成年後見開始等の審判後でも「本人」と呼ばれることもある。このあたりの違いはあまり気にせずにおこう。
②成年後見人等候補者
成年被後見人に対しては成年後見人が付される(選任される)ことはご承知であろう。
誰を成年後見人とするかは、家庭裁判所が決める。これは家庭裁判所のホームページやパンフレットなどにもクドいほど書かれている。おそらく家庭裁判所が市民に対して強く伝えたいことであり、誤解も多いことなのだろう。
だが、一定の欠格事由などはあるものの、本人や関係者の希望を全く無視するということではないので、意中の人物を成年後見人としてほしいと申し出ることは可能だ。
これを成年後見人等候補者という。
クドいようだが、あくまでも希望ということであり、必ずその人物が選任される保障はない。この点についてはいずれ別の頁で紹介したい。
一般的には親族や専門職後見人などが成年後見人等候補者として、成年後見開始等の審判の申立をする。身近に適切な成年後見人等候補者がいなければ無理に定める必要はなく、家庭裁判所の選任に一任することとなる。最近は親族でも専門職でもないいわゆる市民後見人といわれる人たちもいる。
③申立人
成年後見開始等の審判の申立などの家事事件は申立人が家庭裁判所に申し立てることによって手続が開始される。当たり前のようなことだが、裏返せば認知症により財産管理ができていない人がいても、家庭裁判所が勝手に成年後見人をつけてくれるようなことはない。
あくまでも誰かが家庭裁判所に申し出る必要がある。これを申立人という。
申立人は誰でも彼でもいいのかといえば、そうではない。申立人となることができるのは本人と一定の関係にある者に限られている。これは家族についての成年後見制度利用を検討する際にはあまり問題はならないが、血縁関係にない者について制度利用を検討する際には深刻な問題となる。
成年後見の「当事者」はこんな感じだが、「当事者」以外にも多数の「関係者」がいる。
自治体や地域包括支援センターや介護事業者や近隣住民などである。
これらの者からは申立手続のみならず選任後にも協力を得なければ、とてもではないが成年後見人の職務を果たすことはできない。成年後見の現場はいろいろな人がそれぞれの能力や知識を活用して本人を保護(サポートといったほうがいいかも)していく、チームで挑む総力戦である。
時々、一人の人をサポートするのにこれほど多くの人が関わる必要があるのかと驚くことがあるし、少子高齢化といわれるなかでこれから先は大丈夫なんだろうかと心配になることがある。
最後は直接の登場人物ではないが、とても大切なことであるので書いた。
登場人物の話はこんな感じ。
では。
