ダイナムの会社分割3-パチンコ業界最王手の生き残り戦略
2023/12/30 土曜日
この頁ではダイナムおよび敬愛でなされた吸収分割契約の承認手続や債権者保護手続をみていく。
1 承認決議について
ダイナムはダイナムジャパンホールディングスの完全子会社なので株主総会をわざわざ開催する必要はない。決議省略(会社法第319条)で済ませたのだろう。
令和4年12月15日に効力が発生した他社の店舗買収である会社分割は簡易吸収分割であった。ご丁寧に債権者異議申述公告(令和4年11月2日付の電子公告)に簡易吸収分割で行うと書いてあった。債権者異議申述公告に株主総会の承認決議の日程や簡易手続で済ませることを記載することは珍しい。電子公告なので文字数や行数を気にする必要はないってことかもしれない。
株主への通知を兼ねさせることはあるようだが、ダイナムの株主は親会社だけである。
よって、わざわざ株主総会の決議を経ずに行うことを記載する意味はほとんどないのではなだろうか。電公告根拠条項が複数になってしまい、調査会社への費用も増えてしまうだろう
今回の公告(令和5年10月20日付の電子公告)には株主総会を行うとも簡易手続で行うとも記載されていない。本来は記載する必要はないのだから当たり前といえば当たり前ではある。
それでは今回は簡易手続をとらなかったのだろうか。ダイナムの純資産は850億円もあるので、余裕で簡易吸収分割の要件はクリアしていると思うし、差損でもが発生したのだろうか?
そもそも株主が親会社1人だけなんだから、決議省略のほうがいいと思う。なので今回は簡易手続ではなく決議省略であったのだろう。
それではなぜ前回(令和4年)の会社分割では決議省略ではなく簡易手続であったのだろうか。これについては理由がわからないが、何か合理的またはやむを得ないな理由があったのだろう。
敬愛の株主は誰だかは分からないが、創業者=現経営者であれば敬愛でも決議省略だったのだろう。株主が複数名いるのであれば、株主総会を開催したのだろう。
2 債権者保護手続
今回は同一企業グループ内での会社分割ではないのだが、官報での公告は連名だろう。
ダイナムは公告方法が電子公告であり、実際に二重公告をしている。個別催告をしなかったのは債権者多いからだろうか。また、日頃から法定公告事項以外にもIR情報などを自社ホームページで掲載しまくっているので電子公告に手慣れているのだろう。
ところで、二重公告をするために敢えて公告方法を日刊新聞紙へと変更することがある。日刊工業新聞と電子公告のどちらが安いか?日刊工業新聞と電子公告の調査料を比較すると大差は見られないのではないだろうか。中には官報掲載の仲介や取次までやってくれる業者もいる。掲載料に見合ったサービスを提供してくれている。結局のところ自社のホームページ等にすぐに掲載できるような会社であれば電子公告を選べばいいだろう。
分割会社である敬愛も二重公告であろうか?敬愛が債務引受等をしているとは考えられないので分割会社での債権者保護手続の省略はできないであろう。
敬愛も公告方法は日刊新聞のようなので二重公告だったのだろうか?債権者が多いのだろうか?敬愛は1月14日に決算公告をしていることから12月決算だったのか?読売新聞の地方版に掲載していたことから今になっては無料で探し当てることが難しいので、実際の掲載を確認していないので決算月は分からない。
同社は毎年キチンと決算公告していたのか?それとも今回の会社分割を念頭に決算公告を先行させたのか?そうであれば12月決算とは限られないし、今回の会社分割が遅くとも1月頃から企画されていたことを示唆するものである。ダイナムは店舗買取をPRしているが、店舗買取は最低でも半年以上かかるのだろうか?
3 登記申請
登記申請は8月1日になされている。7月31日が効力発生日なんだから7月31日申請でもいいのではないのだろうか。
登記申請はダイナムの本店がある東京法務局北出張所に申請する。
資本金の増加がないので承継会社であるダイナムの変更登記も登録免許税は3万円で、分割会社である敬愛も3万円。
ダイナムは吸収分割による変更以外の登記申請はしていないようだ。(特にするものがなかったのだろう)
添付書類は「吸収分割契約書」「ダイナムの株主総会議事録」「敬愛の株主総会議事録」
「官報」「ダイナムの電子公告調査機関の調査報告書」「敬愛の債権者保護手続をした書面=岐阜県内ので発行されている読売新聞(掲載紙が読売であることや日付が分かる必要があるのでヘッダー部分も含めたもの)」「ダイナムの委任状」「敬愛の委任状」「敬愛の会社法人等番号」くらいであろう。
4 事前開示・事後開示
事前開示・事後開示は作成しているだろうが、公表はされていない。対株主はほとんど問題とならいだろうから、対債権者だけである。債権者が請求したときだけに本店等で書類を交付するんだろうからダイナムからすれば公表する意味などない。
事前開示はプレスリリースには記載されない重要なことも記載されているので、私のようなウオッチャーや同業他社は何としても見てみたいものである。だからこそ公表していないのだろう。
5 終わりに
プレスリリースによればダイナムは業界全体が縮小しつつあることに大きな危機感をもっていて、これまで出店していなかった地域での新規出店をその打開策としている。ピンチのときこそ積極策ということか。だからこそ地域独占の感が強い地方のパチ屋の買収を実施したのであろう。地方で純然たる新規出店をして他社と競合しては共倒れである。ダイナムは今回以外にもいろいろな地域でパチ屋の買収(による会社分割)を行っている。
かつては株式交換により会社をまるごと傘下に収めていたが、現在は会社分割により一部の店舗を買収している。こっちのほうが効率がいいのだろう。打開策が新規出店なので今後も店舗単位の買収は実施するのだろう。業界最王手がこれだから、準最王手(マルハンだったかな?)もこれに続くかもしれない。業界全体が寡占化に進むのだろうか。
最近はご無沙汰だが、パチンコパチスロは節度を持てばそれなりに楽しめるものである。北斗や番長は楽しかったし、荒牧陽子の「雫」はパチンコパチスロが生み出した名曲である。業界全体の活性化を祈願してこのシリーズを終える。
では。
