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ダイナムの会社分割から見えてきたこと

2024/1/24 水曜日

前回の掲載から少し空いたが、前回までにダイナムの会社分割の概要について多くの推測を交えて紹介してきた。そのなかでも少し触れたのだが、このダイナムの会社分割の手法を活用すれば別の会社の会社分割にも活かせるものがあったので、それを紹介する。

ダイナムの会社分割でもっとも目を引いたのは「会社分割の対象となる事業」の定め方である。
今回ダイナムは「店舗単位」での会社分割としていた。これを応用するといろいろなパターンに対応できる。

会社分割の対象としている事業全部ではなく一部がほしいときなどに活用できる。分割会社が飲食店事業を展開しているが、そのうちの黒字店舗だけがほしい場合も「分割会社の以下の店舗の経営事業に関する権利義務」として、具体的な店舗の所在を示せば足りる。
これは子会社の事業に親会社も加わるような場合にも使える。

事業の「一部」の定め方の問題なので、店舗単位ではなく「部署」単位も可能であろう。
例えば分割会社の営む事業の「仕入事業」とか「広告宣伝・マーケンティング事業」とか「雇用・人材育成事業」とかを会社分割の対象とすることもできるだろう。

複数の子会社がそれぞれ別の飲食店を展開しているような場合を考えてみる。
子会社Aは関東地方でラーメン屋のチェーン店を展開する事業
子会社Bは中部地方で居酒屋のチェーン店を展開する事業
子会社Cは関西地方でたこやき屋のチェーン店を展開する事業

各子会社が親会社に仕入事業を分割すれば親会社が効率よく各子会社の仕入事業を統括できる。広告宣伝・マーケンティング事業を分割すれば親会社が効率よく広告ができるし、各社のマーケティング活動も親会社が集中して行うので、子会社は本業の専念できるかもしれない。
要するに子会社のバックオフィス業務を親会社に集中的に帰属させてしまうことにより、子会社が本業に専念できる。「子会社管理業務」というものを会社分割の対象とした実例もあるようなので、このような定め方も当然に許されるはずである。

条文上は「事業」ではなく「分割会社から承継する資産、債務、雇用契約その他の権利義務」であるから、事業の一部や「部署」も当然に対象になるのである。「経理業務」や「人事労務業務」などだけを分割することもできるハズである。

このように会社分割の対象となる事業もとい権利義務はかなり自由の定め方がなされているようである。「事業」ということには拘泥せずに、柔軟な思考を持てば個別の売買ではなく会社分割で対応できる、ということを改めて認識させられた。「会社間の取引」は合併や会社分割や株式交換などを活用することもできるということである。

次に電子公告のアドレスについて。

電子公告のアドレスは登記事項であるから、電子公告採用会社の登記記録にはホームページのアドレスが記載されている。どうでもいいことが、自社のホームページの表示方法としてアドレスのアルファベットなどを一文字一文字並べて表示する手法は古くさくないだろうか。いまでは「●●で検索」とかQRコードを表示するハズである。アルファベットなどを一文字一文字入力していくことは面倒である。このあたりは商業登記規則の改正が待たれる。

このアドレスであるが、古くから自社ホームページ(正確には自社が管理運営するホームページというべきであろう)以外のアドレスでもOKとされている。
ステイクホルダーが当該会社の公告をみることができればいいのだから、他社のホームページでもいいのである。ただし、掲載期間、即ち掲載継続義務があるので他社任せというわけにはいかない。全くの第三者のホームページに掲載というのは感心しない。せいぜい親会社や子会社のホームページにとどめておくべきであろう。ダイナムは親会社であるダイナジャパンのホームページである。

また、登記するアドレスは必ずしも公告事項を掲載したページそれ自体であることを要せず、当該ページへ容易に遷移することができるページ(リンクを貼ったページ)等のアドレスでも差し支えないとされている。要するにリンクしていればいいのである。
ダイナムの場合はダイナムジャパンのトップページのアドレスが登記されている。このトップページのIR情報へリンクし、さらに法定公告をリンクし、該当ページを探すということで債権者異議申述公告にたどり着いた。なかなかたどり着かなかったが、こんな感じでいいようだ。パスワード入力等がなければ先に進めないというものがなければいいのだろう。総じて「なんでもいい」というのが登記すべき電子公告のアドレスである。実際に法定公告を掲載したときに、電子公告調査をクリアできるか否かが重要なのだろう。

登記所がどの程度まで審査しているのかは分からない。しかしダイナムの電子公告アドレス程度で足りるということも、今後別の会社の会社分割などの債権者保護手続にも活かせるだろう。

以上がダイナムの会社分割から見えてきたことや先例として覚えておくべきことである。

では。