元成年後見人(現相続財産管理人)による供託5
2024/3/20 水曜日
前回からの続き。
やっと供託である。今シリーズはいつも以上に前置きが長い。
供託申請書の記載例は供託通達を参考に記載すればそれほど難しくはない。 オンライン申請であれば、電子署名不要で送信すればいい。送信後に受付番号が発番されるので、この受付番号とともに相続財産管理人選任審判書を供託所へ提出する。供託所は相続財産管理人を選任した家庭裁判所の所在地を管轄とする供託所である。
持参でも郵送でもいいので、このあたりは登記申請のオンライン申請(いわゆる半ライン申請)と同じような感覚である。同審判書の原本還付請求をするのであれば、写しも提供する。これも登記申請のオンライン申請(いわゆる半ライン申請)と同じである。
書面申請であれば供託申請時に供託申請書とともに同審判書を提出する。登記申請の書面申請と同じである。
ここでポイントとなるのは、供託が受理された後に供託書正本が交付されるので、これを受領しなければならない。窓口交付を希望するのであれば、受理予定日を確認して後日とりに行けばいい。即日交付してくれる供託所もあるだろう。
郵送交付でもOKなので、この場合は相続財産管理人選任審判書を提出する際に返信用封筒を提出しておく。大した額ではないが、通信費や交通費も相続財産負担とするのであれば、供託前に相当額をストックしておくべきである。
相続財産管理人選任審判書を提出後に納付番号が通知されるので、この番号に従い納付する。今回知ったのだが、電子納付はATMからでもできるようだ。納付番号をATMに入力すればOKのようだ。
なので、電子納付ができない相続財産管理人名義の口座から自身が保有する電子納付可能な口座へ資金移動する必要はない。ただし、振込上限額には注意しておいたほうがいいかもしれない。
納付後に供託書正本が交付される。私の場合ATMから納付して3,4日後に郵送されてきた。これで供託の手続は終了である。
交付付された供託書正本の記載に基づき官報公告の文案を作成して、代行業者へ持ち込む。代行業者のホームページには記載例が掲載されており、見積りをもらう際にすでにある程度は記載しているハズである。なので文案作成はヌルゲーである。見積りをとった代行業者であればハナシはサクサク進む。
公告は官報の号外掲載なので、掲載依頼から掲載までは2週間ほどかかる。自分の名前が官報に掲載されるということはあまりないので、チョットだけドキドキである。
官報掲載後は供託書正本と官報の掲載頁を添付書類として相続財産管理人選任取消審判申立をして、取消の審判がなされれば、相続財産管理人の職務は終了する。官報の掲載頁はインターネット官報の該当ページをそのまま印刷しただけのものを提出したが、家庭裁判所からは官報の現物を提出せよとはいわれなかった。このあたりは登記申請とはチョット違う。
繰り返しだが申立手数料や通信費、交通費を相続財産負担とするのであれば、供託前に相当額をストックしておくべきである。
これにて、成年後見人時代からのミッションのすべてが終了する。相続財産管理人選任取消審判書を眺めていると、あっけないとも思えるし、感慨深いものでもある。
さて、これまでの手続とそれらのポイントや注意点をまとめると次のようになる。
①成年被後見人の死後に相続人が引継ぎに応じないまたは成年後見人の死後事務だけでは処理できない事務がある
※遺産が預貯金のみという場合にも引継ぎということが観念できるのかという問題もある
②相続財産管理人選任申立
※成年後見人が相続財産管理人を務めなければならないということではないが、実際はそれほどやることは多くないし、やるべきことの法整備もなされているので、以前ほど敬遠することもないだろう
※事務所上申の要否も検討する
③預貯金の集約化
※金融機関の不慣れには要注意
④その他の事務処理
※やることはあまり多くない
⑤報酬付与申立
※官報掲載費用相当額の見積もりをもらっておき、供託見込額も知らせておこう
⑥報酬受領
⑦供託申請
※官報掲載費用相当額は別口でストックしておく
※代理権限証書として相続財産管理人選任審判書を提出
⑧納付番号が通知される
⑨供託金額の納付
⑩供託書正本が交付される
⑪公告掲載依頼
※私が依頼した株式会社兵庫県官報販売所は手際が良かった
⑫公告掲載
⑬相続財産管理人選任取消審判申立
⑭取消審判
といった感じである。
相続人が引継ぎを拒否していても成年後見事件の終わらせ方が明確になった。東京家庭裁判所は相続開始後6ヶ月以内にで引継ぎをしろ、これが無理であれば相続財産管理人の選任申立をしろ、というスタンスであるが、今後は6ヶ月を待たずに、引継ぎについての相続人の態度や様子が少しでもアヤシければサッサと相続財産管理人選任申立をしてもいいだろう。
繰り返しだが、成年後見事件の終わらせ方が明確になった。
いつも以上に長くなったが、これにてメデタシメデタシである。
って、思うよね・・・。
世の中そんなに甘くはない。成年後見人の業務はそう簡単には終わらない!!。
家事事件手続法の改正によってもなお未解決な問題はある。
法改正を担当したお役人が想像すらしていないことが現実には起きているし、今後も起き得る。次の頁では未解決問題を紹介するとともにその解決方法を提案する。
では。
