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超難解!会社計算規則14条 その2

2025/2/06 木曜日

このページでは会社計算規則14条1項を見ていく。
まずは用語の整理から。
前のページで「増資をすると会社に財産は入ってくるが、新たに株式を発行した場合は資本金が増えるが、既存の株式(自己株式)を交付した場合は資本金は増えない」としたが、具体例で見てみる。

100万円の出資に対してすべて新たに株式を発行した場合、この100万円を「資本金等増加限度額」という。
100万円の出資に対してすべて自己株式で対応した場合は「資本金等増加限度額」はゼロである。
100万円の出資に対して80株を新たに発行し、自己株式を20株交付する場合、「株式発行割合」が0.8、「自己株式処分割合」が0.2となる。この場合の「資本金等増加限度額」は100万円×0.8(株式発行割合)=800万円となる。
「資本金等増加限度額」(の2分の1以上)が増加する資本金となるので、この額が会社の資本金に加算され、登記される。登録免許税は×7/1000だ。

これが会社計算規則14条1項の趣旨である。たったこれだけのことをおそろしいほど難解に規定したのが14条1項である。
1項の条文を簡素化すると、
資本金等増加限度額={(1号+2号-3号)×株式発行割合}-4号 となる。

まずは1号から。
1号と2号は上記の例でいうところの100万円の算定方法である。
日本円での出資であれば額面どおりでいいのだが、外貨の場合は払込期日の為替レートで引き直すということである。これが1号イであり、いわゆる時価と考えるのだろう。
1号ロは外貨の場合でも時価以外を用いてもいいと言っている。一体どんな場合に適用があるのか分からない。ここで疑問だが1号イが適用される場合の登記申請には為替レートを証明する書面が必要となるのだろうか?

次に2号。
これは現物出資の場合である。増資の場合にも現物出資はできる。しかし増資は現金需要がある場合に行われることなのだから、現物をもらってもなぁ・・・とも思う。
実際はほとんどの場合はDESといわれる債務の現物出資であろう。あとは個々の財産ではなく「事業そのもの」であろう。事業そのものの現物出資は別の頁で触れる。

現物財産の価格が出資の価格である。現物なので時価と簿価がある。共通支配下関係にある場合は簿価とするのだが、出資者が親会社や大株であればこれは共通支配下関係といえるのだろう。

1回の増資で現金出資と現物出資が併存することはよくあるので、2個の募集株式の発行に分ける必要はない。すぐに手に入る市販の書式集にも当然のように記載例が掲載されているので現金出資とDESが同時に行われることはあるのだろう。

現金出資の出資額(1号)と現物出資の出資財産の価格(2号)の合計を「出資総額」という。

次に3号。これは株式発行に係る費用である。これはゼロである。増資手続には費用がかかることが通常で、これを経費として出資総額から控除したいところだ。かつてはこのような処理も許されていたようだが、「資本と費用を混同している」との指摘があったとかなかったとかで、現在は控除しない、というか控除できない。よってゼロとなる。(会社計算規則附則11条5号)会社計算規則の本則で株式交付費用を控除すると規定しておいて、附則で株式交付費用はゼロと規定している。なので結局はゼロなのだが、この3号をこのまま置いておく意味はあるんだろうか・・・?「当分の間」という規定とともに、徒に条文を複雑にするだけである。

出資総額の全額が資本金等増加限度額になるのかといえばそうではなく、「新たに株式を発行した場合は資本金が増えるが、既存の株式(自己株式)を交付した場合は資本金は増えない」ので、出資総額に株式発行割合を乗じる。
株式発行割合は全部新株を発行すれば「1」となり、全部を自己株式を交付すれば「0」だし、新株を80株発行し、自己株式を20株交付すれば「0.8」である。

問題は4号である。
これは自己株式処分差損を控除することを規定している。
自己株式は過去に株主からその株式を会社が買い取ったものである。出資者に対して出資の対価として交付するという一連の流れを見てみると、買い取ったときには会社から資金が流出し、株式が会社に入ってくる。増資は会社に資金が入ってきて自己株式が流出する。これは仕入れた物を売ったと同じことである。新株を発行する場合も同じで、新たに株式を発行(製造)して資金提供者に渡すという行為は製造した株式を売っているともいえる。つまり増資とは自社株式の売買取引なのである。新株発行は新たに製造した株式を販売すること、自己株式の交付はよそから中古品を仕入れてきてこれを販売することである。なお増資では新品も中古品も同価値であることは述べた。

物を販売した場合で考えてみると、
①100で仕入れた商品を150で売れば利益は150-100=50である。
②90で仕入れた商品を80で売れば赤字である80-90=-10である。「▲10」と表現する

これを単純な仕訳で考えると、
①現金 150 / 商品 100 
          利益 50

②現金   80 / 商品 90
利益(赤字)10

※これは正確ではないが、わかりやすく抽象化した仕訳であることは断っておく。

自己株式を交付した場合も同様に考える。
③100で仕入れた自己株式を150で売れば利益は150-100=50である。
④90で仕入れた自己株式を80で売れば赤字である90-100=-10である。

商品の場合と自己株式の場合で違う点は、商品の場合は利益・損失としてその他利益剰余金を加減するのだが、自己株式の場合は差益・差損としてその他資本剰余金を加減するということである。
繰り返しだが、増資の際に自己株式を交付するということは自己株式の売買である。商品販売ではないので「損益取引」ではなく「差益取引(資本取引)」といわれる。取引なので儲けや損が発生するのだが、これは利益・損失ではなく、差益・差損といわれる。

③の場合であれば自己株式処分差益が50発生する。
④の場合であれば自己株式処分差損が10発生する。

この点を踏まえて次の頁では具体例で考えてみる。

では。