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超難解!会社計算規則14条 その4

2025/3/10 月曜日

前回からの続き

次に2項。これはその他資本剰余金とその他利益剰余金の算定方法である。
とはいえ、1項で資本金等増加限度額を算定する過程で既に算定されているので、あまり大したことではない。

1号はその他資本剰余金を規定している。

1号は「イ」と「ロ(1)」と「ロ(2)」と「ハ」の4つが掲げられている。
「イ」は「前項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額に自己株式処分割合を乗じて得た額」とあるから、出資総額×自己株式処分割合=「自己株式対価額」である。要するに「入」だ。

「ロ(1)」は「前項第四号に掲げる額」であるから、「自己株式処分差損(の絶対値)」である。
「ロ(2)」は「前項第一号及び第二号に掲げる額の合計額から同項第三号に掲げる額を減じて得た額に株式発行割合を乗じて得た額(零未満である場合にあっては、零)」であるから出資総額×株式発行割合=「新株発行部分」である。

「ハ」は「自己株式帳簿価額」である。要するに「出」だ。

その他資本剰余金はイ+ロ(1)orロ(2)-ハで求めることが規定されている。

その他資本剰余金は自己株式処分差損益なので、イ-ハで良さそうな感じもするが、「ロ(1)」か「ロ(2)」のどちらかを加算する。これは一体どういうことであろうか。

結論から言えば、自己株式処分差益が発生する場合は何らの処理が不要で、自己株式処分差損が発生する場合にチョットした処理を要するというものである。

「ロ(1)」か「ロ(2)」のどちらか少ない方を加算するとある。
「ロ(1)」が0未満のときは0とするとある。「ロ(1)」は「自己株式処分差損(の絶対値)」なので、これが0未満となるというのは「自己株式処分差益が発生」する場合である。
「ロ(2)」=新株発行部分は少なくても現金出資であれば正の値なので、小さい方は「ロ(1)」となる。「ロ(1)」は0なので、結果としてイ-ハに0を加算するので、何らの処理は不要となる。

「ロ(1)」が正の値となるとき、即ち自己株式処分差損が発生する場合にどちらか少ない方を選択する意味が出てくる。前のページで自己株式処分差損を新株発行部分で穴埋めすると書いたが、これを行うことである。自己株式処分差損と新株発行部分はそれぞれで減殺し合う。
つまり①自己株式処分差損が発生してもその額がそのままその他資本剰余金の減額となるのではなく、新株発行部分でその他資本剰余金の減額の幅を小さくする。この場合は自己株式処分差損を新株発行部分で穴埋めしきれなかったといえる。
また②新株発行部分がそのまま資本金等増加限度額となるのではなく、自己株式処分差損の分だけ資本金等増加限度額が減少する。自己株式処分差損を新株発行部分で穴埋めしきったといえる。

①自己株式処分差損(の絶対値)の方が大きい 
この場合は新株発行部分により自己株式処分差損が減殺されるのでロ(1)とロ(2)の低い方を選択するとロ(2)が選択される。
イ-ハは自己株式処分差損であり、これにロ(2)=新株発行部分を加算することにより自己株式処分差損が減殺される。資本金等増加限度額は0である。
全部自己株式を交付した場合もこっちが適用される。

②新株発行部分の方が大きい
この場合は自己株式処分差損(の絶対値)により新株発行部分が減殺されるのでロ(1)とロ(2)の低い方を選択すると、ロ(1)が選択される。
これにより、イ-ハ-イ-ハ=0なので、その他資本剰余金は計上されない。減殺された新株発行部分が資本金等増加限度額となる。

ロ(1)とロ(2)を比較するのは、自己株式処分差損(の絶対値)と新株発行部分のどちらが大きいかによって処理が異なるからだ。
具体的な例で見てみよう。

例1 自己株式処分差益発生
1株4万円で100株を募集。新株は80株、自己株式は20株で自己株式の帳簿価額は1株あたり3万円

イ   ・・・400×0.2= 80
ロ(1)・・・60-80  =-20 ←コッチを採用したいが、ゼロ未満なので結局                    ロは不採用
ロ(2)・・・400×0.8=320
ハ   ・・・       =60

その他資本剰余金=イ+ロ-ハ=80+0-60=20

仕訳  現金 400 / 自己株式       60
             資本金等増加限度額 320
              その他資本剰余金   20

例2 自己株式処分差損発生  新株発行割合<自己株式処分割合
1株4万円で100株を募集。新株は20株、自己株式は80株で自己株式の帳簿価額は1株あたり25万円

イ   ・・・400×0.8 =320
ロ(1)・・・2000-320=1680
ロ(2)・・・400×0.2 =80  ←コッチを採用
ハ   ・・・80×25   =2000
その他資本剰余金=イ+ロ-ハ=320+80-2000=1600

仕訳(通算処理)
現金        400 / 自己株式 2000
その他資本剰余金 1600

例3 自己株式処分差損発生  新株発行割合>自己株式処分割合
1株4万円で100株を募集。新株は80株、自己株式は20株で自己株式の帳簿価額は1株あたり5万円

イ   ・・・400×0.2= 80   
ロ(1)・・・100-80 = 20 ←コッチを採用    
ロ(2)・・・400×0.8=320      
ハ   ・・・       =100      
その他資本剰余金=イ+ロ-ハ=80+20-100=0
資本金等増加限度額=320-20=300

仕訳
現金 400 / 自己株式      100
         資本金等増加限度額 300

自己株式を交付する場合は以下の3パターンがあり、これらの場合すべてを網羅的に規定したのが2項1号である。
① 自己株式処分差益が発生     ・・・例1
② 自己株式処分差損が発生
 ⅰ 新株発行割合<自己株式処分割合・・・例2
 ⅱ 新株発行割合>自己株式処分割合・・・例3

相変わらず必要以上に複雑でもあるが、一方ではコンパクトとも評価できる。条文を規定した人の頭の中はどうなっているのか・・・。
次はその他利益剰余金についてであるが、資本取引である増資でその他利益剰余金が増減するケースは少ない。そんな場合を紹介する。

では。