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管轄外本店移転の印鑑届不要(令和7年3月24日民商第47号)

2025/11/28 金曜日

本店所在地を現在の法務局の管轄から別の法務局の管轄へ移すことを管轄外本店移転という。以前も管轄外本店移転についての記事を掲載したことがあるので、こちらも見てほしい。 https://www.niitsu-office.com/news/info/139/

 管轄外本店移転は登記簿が紙で調製されていたころの規定が、コンピューターで調製されて各登記所がネットワークで結ばれている現在でも適用されていて、時代遅れ感が否めないものである。それでもさほどの不都合がないので特に手当は不要というのが当局の思うところではあるのだろうが、登記申請書を2通提出し、それぞれの登記申請書に登録免許税3万円×2を納付せよというのは理解しがたい。これは近年法務局の統廃合が行われている地域では、同一県内の本店移転であれば管轄内移転となるので登録免許税は3万円×1でいいといこととのバランスがとれていないと思う。登録免許税納法上は仕方がないのだが、これではボッタクリである。

 管轄外本店移転についてはいろいろと不平不満はあるが、令和7年4月からはその手続がほんのチョットだけ緩和された。
 従来は管轄外本店移転では新所在地法務局用に印鑑届を提出するところ、これが不要となったのである。(令和7年3月24日民商第47号)
 旧所在地法務局には既に印鑑届が提出されていて、これと同じモノを新所在地法務局用に再度提出することとなっていた。これも登記簿が紙だった頃なら理解できるが、現在では理解しがたい。こんな不平不満を受けてかどうかは知らないが、旧所在地法務局に提出している印鑑と同じ印鑑を提出する場合は、印鑑証明書の添付は不要とされている(平成10年5月1日民四876号、平成11年4月2日民四667号)

令和7年4月21日からは印鑑に変更がない場合は、印鑑届そのものが提出不要となった。

 これはこれで、管轄外本店移転の不平不満がすこしだけ解消されたような気がする。
東京法務局台東出張所も東京法務局墨田出張所も同じ法務局なんだから、管轄外本店移転の登記申請も法務局間の内部処理で片付けてほしいという申請人の気持ちに少しだけ応えたことになったのかもしれない。まぁ、管轄外本店移転のラスボスは「登録免許税3万円×2」であり、これは依然として我々の前に立ちはだかり続けている。

 さて、この「印鑑届不要」について当事務所なりの考察をしてみる。というか引き続き管轄外本店移転でも印鑑届が必要となるケースを考えてみる。

 1つめは民事局のホームページでも触れているが、管轄外本店移転にともない印鑑を変更する場合である。
管轄外本店移転後は従来とは異なるデザインの印鑑を用いる場合であり、この場合は新しい印鑑を提出する必要があるこれは当然のことである。管轄外本店移転には商号変更や事業目的の変更を伴うこともあるだろうから、こういった場合は今回の通達は適用されないので要注意である。今回の通達によれば印鑑届を旧所在地法務局から新所在地法務局に送付されるようなので、旧所在地法務局宛てに変更後の印鑑を押印した印鑑届を提出するのであろう。
 印鑑を紛失していて新たな印鑑を登録する場合もこれに含まれるだろう。ただし、届出印を紛失したということは大問題である。届出印は会社と法務局を結びつける唯一のモノでありこれがないということは会社自身の本人確認証明ができないということを意味するし、我々司法書士はとても困惑してしまう。届出印の監守は厳重にお願いしたい。

 もう1つは管轄外本店移転と代表取締役が変更する場合である。
正確には管轄外本店移転と代表取締役の変更を同一の申請で行う場合である。管轄外本店移転とその他の登記を同一の申請で行うことは可能である。むしろ前述のとおり商号変更や事業目的の変更や代表者の変更が伴うこともある。経営主体がまるっと変わってしまうような場合である。
 以前登記所の職員に聞いたことがあるのだが、同一の申請で管轄外本店移転と代表取締役の変更をする場合は、まずは代表取締役の変更を処理してから管轄外本店移転の処理をするので、管轄外本店移転は新代表取締役が申請しているものと扱うらしい。まぁ、そのとおりだろうし、このように処理しないとシステム上も無理が生じてしまうだろう。

 今回の通達以前は新代表取締役による印鑑届を旧所在地法務局用と新所在地法務局用に2通提出する必要があったのだが、今回の通達により旧所在地法務局用に1通だけ提出すればいいことになる。印鑑届を旧所在地法務局が新所在地法務局へ送るようなので、印鑑届の宛先は旧所在地法務局だ。これもうっかりしやすいので要注意だ。

 今回の通達はあまり影響がないためなのか、法務局から東京司法書士会への会員周知要請はなかったので、どの程度周知されているかは分からない。定期的に民事局のホームページを訪問する必要性をあらためて痛感させられた。

今回はここまで。では。