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登記完了までが遅い2

2026/1/17 土曜日

前回の続き。まずは東京会のお尋ね(照会)から。

この照会の中で東京司法書士会は「①相続登記義務化以降の本人申請とその補正の増加、②遺言書保管への対応、③検索情報の申出への対応、④法務局職員の人手不足やライフワークバランス確保などが理由じゃねえの?」と尋ねていた。

なるほど、東京司法書士会の執行部は登記完了までに時間がかかることの理由をこのように推測していたのか。まぁ、多くの司法書士も同感だろう。

令和6年4月から相続登記が義務化となったので①はもっともらしい理由でもありそうだ。②についてはそもそもそれほど件数は多くはないんじゃないだろうか。少なからずの件数はあるだろうが、従来は1週間程度だったものが1ヶ月以上となるような理由になるとは思えない。③は令和7年から始まった制度であり、これももっともらしい理由だろう。ただ、登記完了までが遅くなったのはこの制度のスタート以前からである。
④はハッキリ言って余計なお世話だ。法務局だって迅速な事務の遂行と職員の労働環境改善というトレードオフの関係の調整に苦労しているだろう。仮に④が理由だとすると1週間程度で完了していた頃の法務局はワークライフバランスなど存在せず、さながらワーク&ワークという超ブラックだったということになる。さすがに④はないだろう。

そして東京法務局の回答がこちら。
不動産登記の完了が遅延している理由は①検索情報の申出への対応、②法定相続情報一覧図保管の申出の増加としていて、商業登記については①件数の増加、②代表者住所非表示措置(このホームページでは「ひそ」と呼んでいる)の案内や補正対応だとしている。
不動産・商業共通として本人申請の増加もあるらしい。

いずれも予想どおりではある。しかし検索情報の申出、法定相続情報一覧図保管、ひそなどは法務局(法務省)が用意した制度である。これらの制度を導入するにあたり、現場である法務局の負担が増えることなどは誰でも容易に予想できる。にもかかわらず人員増加などの対応を十分にとっていないといっているようなものである。現場を無視して新規の事業を行おうとしているブラック企業と大して変わらないのではないだろうか。

また、これらが理由であるというのであれば、件数を示して欲しいところである。今年から始まった制度もあるが、具体的な数字を示さず単に「件数が増えました」では納得しがたい。東京法務局側も具体的な数字は把握していないのであろう。回答にも「~によるものと考えています。」というように断言を避けている。

ところで、東京司法書士会からの照会は令和7年10月24日になされていて、東京法務局の回答は令和7年11月6日である。東京司法書士会の照会には11月7日までにとの注文がついている。2週間で回答せよとというこである。回答義務がない者に期限を付けて回答せよというの如何なものである。この手のアンケートには回答期限が付されることがあるが、突然アンケート等を送りつけておいて回答期限まで設定されているのは不快な気持ちになる。まぁ、事前にこのような照会をする旨の通告はしていたのではあろうが。もっとも東京法務局は期限の1日前に回答している。暇だと思われることを警戒したのかすぐには回答しなかったのであろうか。具体的な件数を示していないことからも今回の照会事態を迷惑な照会と捉えているのだろう。

東京司法書士会は「今後の改善の見込」についても照会しているが、東京法務局は具体的には何も回答していない。これは「改善の見込みなし」、もっと言えば「改善する気なし」ということである。つまり登記の完了まで時間がかかるのはしばらくは続くということである。令和7年末・令和7年度末を迎えれば申請件数は増加するのだから、もっと時間がかかるという可能性もある。
もっとも、商業登記については2週間程度で完了するところがチラホラとでてきているので、法務局職員の努力が結実しているのであろう。だとすれば素直に謝意を示すべきところであるし、不動産登記も次第に完了までの時間が短くなるのかもしれない。

なんにせよ、具体的な数字を示して欲しいところである。特に相続登記の件数はとても興味があるところである。

今回は余り詳細な検証はできなかったし、具体的な対策も示すことはできなかった。法務局内部の問題が多いので致し方ない。それではこのシリーズを締める。

では。