数次相続Ⅳ
2021/10/18 月曜日
なぜ数次相続において遺産分割協議当事者適格の相続や中間圧縮登記などをするのだろうか。
答えは簡単である。登録免許税を節約するためである。
登記名義人Aが平成20年に死亡しその相続人はBのみであるところ、何らの手続もしないまま平成25年にBが死亡し、CとDがBを相続し、遺産分割協議によりCが取得たという場合
不動産登記は権利変動の過程までを記載するものであるので、中間圧縮登記をしなければ以下の様に2件の登記申請をする(この方法を「原則どおり申請」と呼ぶ。)
1件目
登記の目的 所有権移転
登記原因 平成20年相続
相続人 亡B
添付書類 省略
登録免許税 不動産価格×4/1000
2件目
登記の目的 所有権移転
登記原因 平成25年相続
相続人 C
添付書類 省略
登録免許税 不動産価格×4/1000
※この場合、添付書類はあまり問題とならないので割愛
中間圧縮登記で申請すれば
1件目
登記の目的 所有権移転
登記原因 平成20年B相続 平成25年相続
相続人 C
添付書類 省略
登録免許税 不動産価格×4/1000
となる。
「原則どおり申請」で2件に分けて申請することも、中間圧縮登記により1件で申請することも自由である。どちらの方法でも登記は受理される。
登録免許税を2回分支払うか1回支払うかの違いである。この場合の税額は同額になるので、「原則どおり申請」では2倍である。相続登記の税率は0.4%とかなり安いのだが、それでも痛い。仮に1億円であれば、1件40万円であるところ2件申請すれば80万円である。
ご注意いただきたいのは、「原則どおり申請」であっても間違いではないので、登記申請が受理された後に「登録免許税半分返せ!」と言っても登記所からは「何言ってんねん!登記は問題なく受理された。返すことはまかり成らんで!」となってしまう。
さらに「原則どおり申請」をしても一度申請した以上は、登記所からは「中間圧縮でやれば登録免許税は半分でっせ!」とは教えてくれない。
不親切かもしれないが、どちらの方法でもOKである以上、申請人が選んだ方法に口出しをしないというのが登記所のスタンスだ。
さらに司法書士への報酬も影響が出るかもしれないし影響はないかもしれない。
多くの司法書士は申請1件で●円という報酬計算をしていることが多いと思われるので、
「原則どおり申請」であれば2件分、中間圧縮登記であれば1件分のご請求となるハズである。
同じ性能・効果の商品やサービスであれば、安くなる方法を提示するのはビジネスの原則であろう。マックでハンバーガーとポテトとコーラを単品購入をしても「セットにすればお安くなるのでセットでのご注文として承りますね」と言ってくれる。
だから司法書士としては中間圧縮登記の方法を選択せねばならない。
もっとも、この場合は単純に1件分のご請求ではなく、相続加算として通常の1件分の●%増ということが多いだろう。
このように数次相続では権利変動の過程を正確に登記記録に記録しつつ、費用や手間の省略を図るべきものである。
なお、時限的措置のようだが、「原則どおり申請」の場合の1件目の登録免許税を非課税、つまり「タダ」にしてくれるようである(租税特別措置法第84条の2の3第1項による免税措置)
これにより「登録免許税倍問題」は解決だが、適用対象は「土地」の場合であり建物についてはタダにはしてくれないようだ。相続登記未了による所有者不明土地問題の解決策として、土地の相続登記を促進するための制度だから、だそうだ。
