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数次相続Ⅰ

2021/10/18 月曜日

記念すべき実質的第1稿は数次相続について。

数次相続とは再転相続ともいわれ、要するに相続が発生したが何らの手続もしないまま次の相続が発生していることをいう。

数次相続は物権変動の過程までを記載・公示することを使命とする不動産登記ととても相性が悪いと感じる。

具体例で考えてみよう。

登記名義人Aが平成20年に死亡し、何らの手続もしないままその配偶者Bが平成25年に死亡した。AとBの間にはC、D、Eと3人の子がいる。Cは平成28年に死亡したが配偶者Xと子Yがいる。
この不動産をDの単独所有とする登記手続を考えてみよう。

数次相続のポイントは「相続人の地位を相続した」ということである。

Aの相続人はB、C、D、Eであり、本来は平成20年以降にこの4名で遺産分割協議を行い不動産の取得者を決めるべきであった。そうすればよかったのだが、後の祭りである。しかし数次相続とはこの後の祭りの処理である。

A死亡時点においてB、C、D、EにはAの遺産についての遺産分割協議を行うべき地位(遺産分割協議に参加できる地位)を有しており、この地位を「遺産分割協議当事者適格」と呼ぶ。当然だが私が勝手に考えた言葉であり、本ページ以外では一切通用しないのでご注意願いたい。
この遺産分割協議当事者適格も財産であることにはかわりないので、相続によって相続人に承継される。「相続人の地位を相続した」ということである。

平成20年時点では遺産分割協議当事者適格はB、C、D、Eにあったが、平成25年B死亡によりBの有していたAの遺産についての遺産分割協議当事者適格はその相続人であるC、D、Eに承継され、以後Aの遺産についての遺産分割協議当事者適格はC、D、Eの3名が有することとなる。
そして平成28年C死亡によりCの遺産についての遺産分割協議当事者適格はX、Yに承継される。当然Cの遺産についての遺産分割協議当事者適格にはAの遺産についての遺産分割協議当事者適格が含まれる。
以後Aの遺産についての遺産分割協議当事者適格はD、E、X、Yの4名が有することとなる。
肩書きでいえば、
D・・・「A相続人」兼「A相続人B相続人」
E・・・「A相続人」兼「A相続人B相続人」
X・・・「A相続人C相続人」兼「A相続人B相続人C相続人」
Y・・・「A相続人C相続人」兼「A相続人B相続人C相続人」

ということになる。もはや何のことやらではあるが、この記載振りは重要だ。

かくして、Aの遺産についての遺産分割協議当事者適格を有するD、E、X、Yの4名が亡Aの遺産についてDの単独所有とする遺産分割協議を行うことができるのである。

この場合の登記
登記の目的 所有権移転
原因    平成20年 相続   (※月日は省略しています)
相続人   D (※住所は省略しています)
添付書類  登記原因証明情報 住民票 委任状
となる。

登記原因証明情報は戸籍謄本等と遺産分割協議書である。この遺産分割協議書の記載方法は難しい!端的にいえば遺産分割協議当事者適格が相続により承継された過程をすべて記載する必要がある。正確に言えば「記載する必要があった」であるが、これはチョット長くなるので後日。

この不動産をXまたはYの単独所有とする登記手続には「中間圧縮登記」という技法を用いるのだが、これは別の頁で。